3. 自然誌―自然と文化の人類学―の構築

 「自然と文化の人類学」を「自然誌」と定義し、その理論と方法論についてはすでに論じたことがある。また、自然誌の考え方が日本文化における自然と文化との初原的同一性の思考と深く関わり、近代以後の西洋からの学問の受容と再統合の過程においてもその底流となっていることについても指摘した。
 「人間とは何か」という永遠の問いに答えようとする人類学にとり、さまざまな視点と対象に基づいた体系的で多様な考え方が必要とされよう。したがって、「自然誌」という日本独自の視点からの人間の研究は、世界の人類学と人間の解明に貢献するものであると考えることができる。「自然誌」の最初の提案から10年を経て、新たなフィールド資料を加え、「自然と文化の人類学」の理論と方法論をさらに深め、学問体系として構築し、世界に発信するものである。

参考図書

1.煎本孝 2010(orig.1996)『文化の自然誌』東京、東京大学出版会

2.煎本孝 2007「人類学的アプローチによる心の社会性」『集団生活の論理と実践−互恵性を巡る心理学および人類学的検討』煎本孝・高橋伸幸・山岸俊男(編著)札幌、北海道大学出版会。

参考論文

1. Irimoto, Takashi 2004 Northern Studies in Japan. Japanese Review of Cultural Anthropology. vol.5, 55-89.

2. 煎本孝 2007「日本における北方研究の再検討―自然誌‐自然と文化の人類学‐の視点から―」Anthropological Science (Japanese Series) vol.115,1-13.

3. 煎本孝 2010「人類の進化と北方適応」『文化人類学』vol.74(4),541-565.

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