煎本孝 2007『トナカイ遊牧民、循環のフィロソフィー』東京、明石書店

目次

プロローグ
第1章 ロシアの現実
 1 ロシア人研究者と会う
 2 チュクチの冗談
 3 カムチャッカの悩み
第2章 コリヤークの現実
 1 コリヤークとの出会い
 2 ナタリアの涙
 3 生きていた伝統文化
第3章 トナカイの供犠
 1 死者へのトナカイ送り
 2 川の霊へのトナカイ供犠
 3 秋の大地におけるトナカイ供犠
第4章 コリヤークの1年
 1 トナカイ遊牧の1年
 2 儀礼と祭りの1年
 3 コリヤークのカレンダー
第5章 精神世界への入口
 1 向こう側の世界
 2 モハモールの夢
 3 循環のフィロソフィー
第6章 変化する生活
 1 コリヤーク文化の過去
 2 トナカイ遊牧の変化
 3 変化する住居
第7章 コリヤークの社会と結婚
 1 トナカイ遊牧とニミヨルガン
 2 結婚と居住規則
 3 親族名称と婚姻の規則
 4 結婚の「更新」とトナカイの相続
 5 コリヤークの社会と変化
第8章 コリヤークの死の儀礼
 1 アレクセイとの再会
 2 火葬と相撲
 3 ナタリアの語る死の儀礼
 4 ユーリの語る死の儀礼
 5 地上への再生
 6 死の儀礼の世界観
第9章 本当の火
 1 子トナカイ誕生のキルウェイ祭礼
 2 ユーリのキルウェイ
 3 アレクセイとナタリアのキルウェイ
 4 キルウェイの世界観
 5 新年の祭礼とトナカイの頭の踊り
第10章 日々の生活
 1 アレクセイとナタリアの生活
 2 ワシリーの生活
 3 日々の生活と親族
 4 熊とアレクセイ
 5 シャマンと熊
 6 コリヤークの狩猟の祭礼
第11章 コリヤークの未来
 1 トナカイ遊牧の将来
 2 迷える世代
 3 コリヤークの子供たち
エピローグ
あとがき
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Index研究課題1.北方文化研究の集大成>『トナカイ遊牧民、循環のフィロソフィー』目次


copyright © 2012 Takashi Irimoto

煎本孝 2002(orig.1983)『カナダ・インディアンの世界から(文庫版)』東京、福音館書店

目次

プロローグ
第一章 出会い
第二章 夏への風景
第三章 冬への旅立ち
第四章 トナカイが来る時
第五章 トナカイの狩猟
第六章 トナカイの料理
第七章 不死なるトナカイ
第八章 キャンプの人びと
第九章 雪の荒野
第十章 春の動物たち
第十一章 村の生活
エピローグ
あとがき
文庫版のための「あとがき」
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Index研究課題1.北方文化研究の集大成>『カナダ・インディアンの世界から(文庫版)』目次


copyright © 2012 Takashi Irimoto

煎本孝 2007「人類学的アプローチによる心の社会性」『集団生活の論理と実践−互恵性を巡る心理学および人類学的検討』煎本孝・高橋伸幸・山岸俊男(編著)札幌、北海道大学出版会

目次

まえがき

第I部 心の社会性への2つのアプローチ

 第1章 人類学的アプローチによる心の社会性(煎本孝)
  1.はじめに
  2.人類学とフィールドワーク
  3.初原的同一性
   3-1.2つの社会―超自然的社会と人間社会
   3-2.初原的同一性―二元性と同一性
  4.互酬性の認識
   4-1.狩猟における互酬性の認識
   4-2.互酬性と狩猟の行動戦略
   4-3.遊牧における互酬性の認識
  5.社会規範と互酬性
  6.おわりに
 第2章 人間社会の特徴としての社会的交換(高橋伸幸)
  1.はじめに
  2.限定交換における資源提供
  3.一般交換成立の仕組み
   3-1.鎖状一般交換
   3-2.集団一般交換
   3-3.純一般交換
    3-3-1.純一般交換に関する理論研究
    3-3-2.純一般交換成立の実証的検討
  4.おわりに

第II部 心の実験とフィールドワーク

 第3章 小型沿岸捕鯨社会の規範と捕鯨者の心(山口未花子)
  1.はじめに
  2.対象と方法
  3.捕鯨船の規範
  4.捕鯨船Aにおける活動の規範
  5.規範からの逸脱
  6.おわりに
 第4章 文化と心の相互関係―鍛冶屋利用者の利用習慣によって形成されるビシュヌプルと秋田の鍛冶屋の心の相違(齋藤貴之)
  1.はじめに
  2.背景
  3.多くの共通点と心の相違
   3-1.ビシュヌプルの鍛冶屋と秋田の鍛冶屋
   3-2.心の相違
   3-3.仮説の提起とその検証
  4.利用習慣の間に見られる相違
  5.心の相違との関連性
  6.おわりに
 第5章 西シベリア地域の通過儀礼・変化・集団維持機能(木村美希)
  1.はじめに
  2.出産や誕生に関する儀礼
  3.結婚に関する儀礼
  4.死者に関する儀礼
  5.おわりに
 第6章 生活におけるオシラサマの祭―集団の活動と凝集性(上原周子)
  1.はじめに
  2.オシラサマ信仰について
  3.調査地下北地方と信仰の現状
  4.大畑町A集落におけるオシラサマの祭
   4-1.集落位置および規模
   4-2.歴史および生活背景
   4-3.A集落のオシラサマ信仰および現状
   4-4.オシラサマの祭の分析・考察
   4-5.集落の祭事活動におけるオシラサマの祭の位置
   4-6.オヤグマキの範囲とその活動
  5.おわりに
 第7章 実験で見る心と文化―相互作用と心の文化差(仲間大輔)
  1.はじめに
  2.比較文化研究の代表的知見
   2-1.自己
   2-2.社会的推論
   2-3.カテゴリー化
   2-4.注意配分
  3.社会環境要因の視座
   3-1.文化プライミング
   3-2.文化的アフォーダンス
   3-3.ゲーム論的アプローチ
  4.おわりに
 第8章 包括的認知の発生メカニズムに関する実験研究(鈴木直人
  1.はじめに
  2.包括的認知
  3.包括的認知の起源に関するNisbettの理論
  4.文化プライミング実験
  5.社会的適応の観点による包括的認知の道具的機能
  6.実証研究
   6-1.概要
   6-2.カテゴリー化課題
   6-3.帰属課題
   6-4.表情判断課題
  7.実験結果
  8.おわりに
 第9章 日本人の集団主義を支える制度と心―心理学実験による検討(竹村幸祐)
  1.はじめに
  2.日本人の集団主義的価値観についての研究
  3.日本人の集団主義的行動と集団内監視・制裁システム
  4.日本人の適応方略―集団内監視を仮定する心
  5.おわりに

第III部 人類学的アプローチと社会心理学的アプローチの接合に向けて

 第10章 討論―心のしくみ解明のためにフィールド研究と実験研究で協力できることは?
 (山口未花子・齋藤貴之・木村美希・上原周子・仲間大輔・鈴木直人・竹村幸祐)
 第11章 「心の社会性」解明に向けて(山岸俊男
  1.心理学と人類学との蜜月時代
  2.社会科学の新しい潮流
  3.文化心理学
  4.自己維持的システムを構成する要素としての社会性
  5.文化心理学,自然と文化の人類学,ゲーム理論
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Index研究課題3. 自然誌―自然と文化の人類学―の構築>『集団生活の論理と実践−互恵性を巡る心理学および人類学的検討』目次


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煎本孝 2010(orig.1996)『文化の自然誌』東京、東京大学出版会

目次

序章
第1章 自然と文化の人類学
 1 人類学とはなにか
 2 二つの人類学―自然人類学と文化人類学
 3 自然と文化の人類学―あたらしい人類学のパラダイム
 4 経験的観察方法
 5 人間活動系の研究方法
   個体識別
   直接観察
   個体追跡
第2章 海人の自然誌
 1 海人の活動
   日本の海人の分布
   素潜りのための道具
   海人による潜り方のちがい
 2 活動の時間‐空間利用と個人差
   海上の海人の位置を知る
   ヤマタテ(伝統的な位置決定法)
   海人の一日の活動
   時間‐空間利用の個人差
 3 個人と集団
   千倉町の海村
   さまざまな仕事集団
   漁撈採集活動の時間‐空間利用
   地域集団と人びと
第3章 森林インディアンの自然誌
 1 チペワイアンの活動
   季節的移住の型と年間活動空間
   生計活動の分類
   生計活動の時間‐空間利用
   活動系の構成原理
   チペワイアンのトナカイ狩猟活動系
 2 チペワイアンの社会構造
   チペワイアンの集団構造
   キャンプの構成と目的
   狩猟単位と家計単位
   活動系と社会構造
   変化と継続
 3 チペワイアンの生態と宗教
   狩人と動物との生態的関係
   狩人と動物の関係の認識
   行動戦略
終章
あとがき
文献
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Index研究課題3. 自然誌―自然と文化の人類学―の構築>『文化の自然誌』目次


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3. 自然誌―自然と文化の人類学―の構築

 「自然と文化の人類学」を「自然誌」と定義し、その理論と方法論についてはすでに論じたことがある。また、自然誌の考え方が日本文化における自然と文化との初原的同一性の思考と深く関わり、近代以後の西洋からの学問の受容と再統合の過程においてもその底流となっていることについても指摘した。
 「人間とは何か」という永遠の問いに答えようとする人類学にとり、さまざまな視点と対象に基づいた体系的で多様な考え方が必要とされよう。したがって、「自然誌」という日本独自の視点からの人間の研究は、世界の人類学と人間の解明に貢献するものであると考えることができる。「自然誌」の最初の提案から10年を経て、新たなフィールド資料を加え、「自然と文化の人類学」の理論と方法論をさらに深め、学問体系として構築し、世界に発信するものである。

参考図書

1.煎本孝 2010(orig.1996)『文化の自然誌』東京、東京大学出版会

2.煎本孝 2007「人類学的アプローチによる心の社会性」『集団生活の論理と実践−互恵性を巡る心理学および人類学的検討』煎本孝・高橋伸幸・山岸俊男(編著)札幌、北海道大学出版会。

参考論文

1. Irimoto, Takashi 2004 Northern Studies in Japan. Japanese Review of Cultural Anthropology. vol.5, 55-89.

2. 煎本孝 2007「日本における北方研究の再検討―自然誌‐自然と文化の人類学‐の視点から―」Anthropological Science (Japanese Series) vol.115,1-13.

3. 煎本孝 2010「人類の進化と北方適応」『文化人類学』vol.74(4),541-565.

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Index研究課題>3. 自然誌―自然と文化の人類学―の構築


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2. チベットの総括的研究

 昭和54年(1979年)に始まり、昭和58年度(1983年)文部省在外研究員派遣(長期)事業『ラダック地域におけるチベット系住民の生態と世界観に関する研究』、および、平成元−2年度日本学術振興会国際共同研究『西チベット民族の生態と世界観の動態に関する文化人類学的研究』以来、現在に至るまでの30年間にわたり、インド領西チベットをはじめ、インドのチベット難民社会、中国領チベットなどにおいて、チベット文化の文化人類学的調査・研究を進めてきたところである。
 さらに、上記の調査・研究に続き、平成18年度以後は、『チベットの文化復興とアイデンティティの形成に関する文化人類学的研究』(平成18−21年度科学研究費補助金、基盤研究(B)(海外学術調査)が、中国チベット自治区青海省甘粛省四川省において行われてきたところである。これらチベットの広域的、かつ集中的調査・研究に基づき、チベット文化圏全域の概観を把握し、同時にチベット研究の国際的現状とデータベース作成状況についての分析が行われた。
 したがって、今後、フィールド調査、フィールドデータの整理、分析に基づき、チベットの総括的研究を行うものである。

参考論文

1. 煎本孝 2005「北方学とチベット学」『北方学会報』vol.11,81-92.

2. Irimoto, Takashi 2005 Northern Studies and Tibetology. Northern Studies Association Bulletin. vol.11:1-18.

3. 煎本孝 2010「チベット研究の現状とデータベース作成」『北方学会報』vol.14,43-49.

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Index研究課題>2. チベットの総括的研究


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1.北方文化研究の集大成

 アイヌ文化に関する文化人類学的研究については、すでに個々のテーマ―沙流川流域アイヌの歴史的、文化人類学的分析にはじまり、生態、シャマニズム、儀礼エスニシティアイデンティティ、文化復興、文化創造など―に関する一連の研究を公刊し、さらに、それを広く北方文化全体の中で位置づけてきたところである。また、現在までにアイヌ文献データベースの作成と文献目録の発表を行ってきたところである。アイヌ文献データベース(Irimoto 1992 Ainu Bibliography. Sapporo: Hokkaido University.)による1992年時点でのデータ件数は約3,000件であったが、現在これに追加文献約2,000件を加え、計5,000件のアイヌ文献データベースとなっている。これらのデータベースを更新、活用しながら、同時に個々のテーマに関する研究の蓄積と統合により、アイヌ文化研究の集大成が可能である。最新の研究成果は、ノルウェーにおける国際シンポジウムとその成果(Irimoto, Takashi 2008 A Reappraisal of the Ainu Bear Festival. International Symposium on Circumpolar Reappraisal. Norwegian University of Science and Technology (NTNU), Trondheim; Irimoto, Takashi 2010 A Reappraisal of the Ainu Bear Festival, British Archaeological Reports International Series 2154),およびアイヌの熊祭りに関する集大成(煎本孝2010『アイヌの熊祭り』雄山閣)において提示されている。
 さらに、広く北方諸文化を比較し、その特質を解明するために北方学会が設立され、機関誌『北方学会報』1-15号(1992-2011年)が刊行されるとともに、国際共同研究が推進され、4度に渡る国際シンポジウムが開催された(Irimoto and Yamada 1994 Circumpolar Religion and Ecology. Tokyo: University of Tokyo Press.;2004 Circumpolar Ethnicity and Identity. Senri Ethnological Studies, 66. Osaka: National Museum of Ethnology.; Yamada and Irimoto,1997 Circumpolar Animism and Shamanism. Sapporo : Hokkaido University Press.;2008 Continuity, Symbiosis, and the Mind in Traditional Cultures of Modern Societies. Sapporo: Hokkaido University Press)。
 また、日本における北方文化研究、さらには、人類進化史的視点からの北方文化研究の再検討が行われている(Irimoto 2004. Northern Studies in Japan. Jap. Review Cultural Anthro. 5:55-89.;煎本孝 2007「日本における北方研究の再検討―自然誌‐自然と文化の人類学‐の視点から―」Anth. Sci. (Jap. Serces) 115:1-13.;2010「人類の進化と北方適応」『文化人類学』74(4):541‐565)。これら研究の集大成を広く国際的に発信することは学術的、社会的に意義があるものと考えている。

参考図書

1. 煎本孝 2002(orig.1983)『カナダ・インディアンの世界から(文庫版)』東京、福音館書店

2. 煎本孝 2007『トナカイ遊牧民、循環のフィロソフィー』東京、明石書店

3. 煎本孝 2010『アイヌの熊祭り』東京、雄山閣

参考論文

1. Irimoto, Takashi 2004 Northern Studies in Japan. Japanese Review of Cultural Anthropology. vol.5, 55-89.

2. 煎本孝 2007「日本における北方研究の再検討―自然誌‐自然と文化の人類学‐の視点から―」Anthropological Science (Japanese Series) vol.115,1-13.

3. 煎本孝 2010「人類の進化と北方適応」『文化人類学』vol.74(4),541-565.

4. 煎本孝 2011「北方学の展開―心の諸科学からの社会的貢献」『北方学会報』vol.15,1-2.

5. Irimoto, Takashi 2011 Development of Northern Studies – the Social Contribution of the Sciences of the Mind.Northern Studies Association Bulletin vol.15,1-2.

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Index研究課題>1.北方文化研究の集大成


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